能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(日本地理)「第二都市について」

 最近Twitterを見ていたら、Youtubeで「各都道府県の二番目の都市を調べてみた」的な動画が面白い!的なことが言われていて、正直「そのネタ数年前にやったな……」と思ったので、そのネタを掘り起こしておきたいと思います笑

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第二都市の最古の市である姫路市

 2016年に発表したので、当時のデータです。

 ①:2015年時点での「第二都市」一覧

 人口別に見たのが下図です。地方では10万人から20万人前後の都市が、都市圏では50万から100万人前後の都市が中心で、その差は歴然としています。見慣れない市が多いのも特徴ですが、それは②で変遷をご確認ください。

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 市制施行の都市を示したのが下図で、最も古いのは静岡市高岡市・津市・姫路市の1889年施行。これは全国でも最も早く市制施行をしたグループ(全部で30市ありました)で、それ以外にも前橋市(1892年)、佐世保市(1902年)、長岡市1906年)、松本市(1907年)など、城下町や軍港としての歴史を持つ各市が続き、戦前までに市制を施行した市が目立ちます。一方で、甲斐市(2004)、白山市(2005年)、坂井市(2006年)など平成の合併で誕生した新しい市も目立ちます。

 

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②変遷、軍港から工業都市、そしてベッドタウン

 下図は見にくいのですが、人口の変遷です(クリックしてご覧ください)。第二都市で全国最小なのは、南国市の4万8千人、逆に最大は川崎の147万5千人です。驚くことに、川崎が60年で人口を3倍に伸ばしたのに対して、高知県では第二都市の人口がほぼ変わっていません。大分・熊本県もほぼ同様で、地方の県ほど、人口増加が生じていない様子も見て取れますし、これら二県では第二都市が長らく変化していないので、合併が進まなかったとも見えます。

 

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 赤色の網掛けは、現在の都市になったのはいつかを示しています。実は比較的まんべんなく移り変わっている県が多く、また昭和と平成の大合併の影響で大きく変化した所も多いのです。

 ちなみに現在、都道府県庁所在地で第二都市に有るのは、前橋市静岡市、津市、山口市です(福島市は第三都市です)。

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 時期的な変化が明確なのが下に上げた街で、戦後は工業都市が第二都市として大きな地位につくものの、しだいにベッドタウンが中心へと入れ替わるのが見て取れますし、また横須賀・舞鶴・呉という軍港が、それぞれ工業都市へ置き換われていくのもわかりやすいですね。

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 逆に入れ替わりが激しくわかりにくいのが下の街です。以下の県では、比較的小規模な都市や、同じ規模の中小都市が林立しているために、抜きつぬかれつが生じやすくなっています。比較的歴史が長い、藩単位での鍔迫り合いという感じがします。

 

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 太平洋ベルト地帯では、比較的入れ替わりが少ない県が多いです。もっとも、中部地方の新潟・長野・富山・岐阜も一度も入れ替わりがなく、歴史的に盤石な地域なのかな?とも思えます。

 

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③:都市の傾向、工業都市の強さ

 下図は、2012年時点での製造品出荷額ベスト50市で、12市が各県の第一都市で、9市が第二都市です。それ以外の太平洋ベルト地帯の都市が多く含まれていますが、第二都市が上位に躍り出ていることが目立ち、それなりの人口を集める要素として、工業が大きなカギを握っていることが分かります。それにしても豊田市の圧倒的な差はすごいですね。

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 第二都市のうち、政令市は川崎市静岡市北九州市の三市、中核市旭川市八戸市郡山市・ 前橋市船橋市・八王子市・豊田市姫路市倉敷市福山市佐世保市特例市つくば市川口市長岡市松本市と全体の40%が行政上なんらかの規模を有する都市です。

 

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 第二都市は、単に現在を見るだけでなく、その歴史的な変遷や動向を確認することで、地域内の動向や、日本全体の経済動向を把握することができる面白い指標だと思います。

 みなさんもご自分でいろいろと調べてみていただけると面白いと思います!ではまた。