能登屋備忘録

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾ニュース)「台湾高鉄、屏東延伸へ」

 本日、台湾行政院(内閣に相当)の蘇貞昌院長が南部を訪問し、台湾高速鉄道の屏東への延伸を発表しました。

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台湾高速鉄道ウィキメディア・コモンズより)

File:Taiwan-HighSpeedRail-700T-testrun-2006-0624.jpg - Wikimedia Commons



①:台湾高速鉄道「高鐵」概要

  現在、台湾の新幹線にあたる台湾高速鉄道、「高鐵」は、台北市内の南港から高雄市内の左營までの348.5kmを結んでいます。最高速度は300km、最速列車は両駅間を約1時間30分で結んでいます。

 台北市内を除いて、建設費用やルートなどの関係から台鉄と比較して高速鉄道はより内陸を走行しており、そのため高鐵駅は市街地から離れた場所にあります。このうち、新竹、台中、台南は在来線・市街地との接続のため台鉄の支線が分岐しており、南港・台北・板橋・左營は台鉄の縦貫線と接続しています。ややこしいのが、これら駅は基本的にすべて高鐵○○を名乗っており、台鉄は別に駅名があります(たとえば、高鐵台中と台鉄新烏日)。高鐵彰化、嘉義などは目下のところ接続路線はなく、バスでの移動が前提となっています。

 

②:屏東延伸決定、採用は「左營ルート」?

 こうした高鐵ですが、現在北部(宜蘭方面)と南部(屏東方面)への延伸が議論されており、今日(2019年9月10日)、屏東への延伸が発表されることになりました*1。南廻線の電化や東部幹線の強化をすすめる台湾政府にとって、高速鉄道の強化を通じた台湾一周鉄道ルートの高速化の推進は規定ルートと言えます。

 さてそのルートですが、大方の鉄道オタクが考えるようなルートとはならないかもというのが今回の意外な点です。7月の段階で、交通部が発表した予定ルートは4案ありました*2。1つ目は、現在線から分岐して南進する燕巣ルート、2つ目は左營からスイッチバックし、高雄市街を経由せず延伸する左營ルート、3つ目は左營から台鉄沿いに南下して高雄市街を貫通する高雄ルート、4つ目はさらに南下して空港を経由する小港ルートです。今回の蘇貞昌院長は、2の左營ルートを基本として検討を行うよう指示するというものでした。

 普通に考えれば、3の市街ルートが良さそうなものですが、市街を経由するため全線の地下化が必要、かつ市街地区での工事であるため環境アセスメント等の諸費用(1,2案が2000億円程度の工費に対して3案は5000億超と予想)、工期も考えると最も厳しいのが第3案であることも確かです。

 

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延伸ルート案

③:高雄の反発

 さて、こうした左營ルートに対して、高雄を地盤とする立法委員などから反発の声も出ています。国民党の黄昭順立法委員は、これまでにも第3案の実施を主張してきましたが、今回の決定を受けて「野党国民党の韓國瑜が市長を務める高雄を政府民進党は無視をするのか」と批判しました。*3。また韓國瑜市長も交通部、政府に対して高雄市街を経由する案を検討するよう申し入れました*4。この件については、まだ白紙であり、政府としても地元高雄市屏東県と調整の上で実際に設計、建設が進められるため、今後の展開によってはそのルート選定も変わる可能性はあるといえるでしょう。高鐵もまだ細かいことには立ち入れないという立場です*5

 いずれにせよ、南部延伸と活性化の早期実現を期待したいところです。

 

(追記)

 本日(2019年9月11日)の報道によるともう少し詳細な情報が出ました*6。目下有力な左營案の場合、すでに概ね実現性については検討が済んでいるため、1年半後には工事を開始し、2031年には開業するとの見通しのようです。この場合、必要な予算は車両費用を除いて554億NTD、約1900億円弱といったところのようです。

 第3、4案の場合は、より検討の時間が必要になるようで、今後の延伸を早期に実現するなら左營、というニュアンスが強まっているようです。また屏東県内での駅設置は屏東駅ではなく、六塊厝での設置が有力なようです。

 この場合、左營・六塊厝いずれも駅周辺の都市機能の強化が課題となってくるようです。