能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

頑張ればいいってもんじゃない

ガルパンを4度も見た話。

2015年11月に公開になった『ガールズ&パンツァー劇場版』。私が好きな声優さんが出るということだったので、12月某日に見に行きました。

以下はその話(ネタバレを少し含みます)

 

 自宅最寄りの映画館は立川市にあるシネマシティという映画館です。これまで幾度か足を運んで、まあ普通の映画館だと思っていたのですが、やはり昨年公開のマッドマックスを上映した際にひとつの試みをなさいました。

「爆音」上映です。残念ながらマッドマックスをシネマシティで見たことはなかったのですが、名前の通り一部の効果音を最も「効果的」になるように設定した仕様だそう。その爆音上映をこの「ガルパン」でも行いました。
私は聞くともなくその情報を聞いていたのですが、後ほどこの爆音にたまげることになります。

ガルパン」をご存じない方に簡単に説明すると、可愛い女の子が戦車で闘うアニメです。試合に勝利しないと廃校になるとかいうよくある設定です。野球とか柔道のかわりに戦車でドンパチやるとおもってください。基本的にはコミカルなストーリーです。
2012年にTVアニメが放送され、アニメの舞台となった大洗町を一大観光スポットに押し上げた伝説的作品です。

私も放送当時ではないですが、このアニメを視聴し「まあ(ありきたりな展開だけど素材やキャラが)面白いなあ」などと思っていました。
OVAや劇場版も作成されるのは知っていましたが、あくまで他人事。ところが、10月に追加のキャストに「能登麻美子」の名前を発見して(というよりリプライを送られ)状況が一変します。
映画館で聞く能登さんの声、良いだろうなあ…。
そうは思いつつ、そこまでひっかかる作品でもなかったので、深くは考えず、タイミングを見て見れれば見ようと考えていました。

ところが、立川で「爆音」上映を始めたことで、友人や知人が立川を訪れました。
まだ私が見ていない段階で、「ついでだから」晩飯でもどうよ、と誘われてほいほい行くと、決まって「ガルパンはいいぞ。」と言われることになるのです。しかも満面の笑みで。
ツイッターでフォロワーを見ていると、どうもこの劇場版を見た人間がウイルスにでも罹患したかのように「ガルパンはいいぞ。」とつぶやき、ひどいのになると10回以上見ている。
どうもこれは尋常ならざると思い、12月某日、平日なのにそこそこ人が入っている映画館へ向い、「こいつら何しているんだろう」と若干の疑問を寄せつつ着席する。そういう経緯なのです。

その2時間後、私は一人の「ガルパンはいいぞ。」としか言えないおじさんになって映画館を後にしました。
「はぁ最高」とつぶやきつつ、こんな日には「御座候で祝杯だ!」と訳の分からないことを言いながら高島屋地下一階へ行きました。
さらにそのあと3回、私はこのシネマシティで爆音上映を見ました(つごう4回見た)。

これは正直言って、予想外の展開でした。
余談ですが、私はガルパン1回めの後に『スター・ウォーズ フォースの覚醒』をやはり「爆音」で見に行きました。
レイア姫があまりにも年齢を重ねていて年月の恐ろしさにたまげてしまい、新キャラを深く考察する余裕もなく、「ああそうだよね、そういう展開だよね」と思っていると終わってしまいました。
スター・ウォーズは2回めを見に行こうとはあまり思わず、むしろ新旧三部作のおさらいをしたいなあと思いました。
そうしたさなかで、「ガルパン」を四度も見ました。
なんでだろう…?

ネタバレしない範囲でこうなった要因を考えると、
①:ストーリーは至極単純で振り返る必要もなく、ただその場の展開に集中できる「娯楽」である
②:音楽とストーリーのマッチングが心地よい
③:TVシリーズの総決算であり、各個のキャラクターが最大限に活かされている
④:主題である戦車をはじめとしたメカの登場と活躍がマニア心をくすぐる
というところにあったかなと思いました。

先に述べたように、この物語は非常に単純です。負けたら、終わり。だから、負けない。でも…。

以下はネタバレを軽くする範囲での要因です。

①:つよい敵が出てくる
②:姉がすごいいい
③:名言が鬼のように出てきて絡め取られる
④:シリアスなパートとコミカルなパートのミルフィーユ。人間ミートパイ。

これまで、テレビシリーズでは基本的に「敵」として登場した(それでも闘う中で互いを尊敬するようになった)キャラクターが仲間になる。
そして、大洗を勝たせるためだけに奮戦し、場面から退場する。そのひとつひとつの過程が濃縮され、音楽にのせて流れる。
オマケに大きな音でドンパチやれば大概興奮します。
このアニメは基本的にちゃんばらでキャラクターのアニメーションなので、キャラへの愛着と執着が紡ぎだされる過程において、究極的に「がルパンはいいぞ」となるのかもしれません。
とはいえ、そのお膳立てをする小道具やシーン、場所、メカに落ち込まれた符丁が非常に細かく丁寧で、それをいくども反芻して「発見する」ところに、本作をいくども見る良さがあるなあと思いました。

 

私の好きなキャラクターが作中でこう述べました。

「戦車道には人生の大切な全てのことが詰まってる、でも多くの人がそれに気付かないんだ」と。