能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾日常生活)「台北メトロ、IC乗車券利用割引廃止を検討」

 もはや台北生活にとってなくてはならないと言って良い台北メトロ(台北捷運)。2019年12月には新たな路線、「環状線」(大坪林~新北産業園区)が仲間に加わる予定です*1新北市を中心に、いまだに鉄道交通が不便な地域は大台北でもたくさんあり、さらなる路線の開業が待望されている状況ですが、その経営は安定しているとは言えません。そのため、台北メトロでは、現在IC乗車券を利用すると発生する割引について廃止することを検討していると言います*2

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多くの人が利用する台北メトロ



 

 

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一日平均利用者数の推移(灰が全路線、青は文湖線、オレンジは高運量路線)

 台北メトロは現在年間利用者数が200万を超え、ここ10年で70%近く増加しています*3。やや成長は鈍化したとはいえ、その成長は著しいといえます。しかしながら、2018年度の地下鉄運輸本体では約13億TWDの赤字が出たといいます。また2019年度もそれ以上の損益が出ることが予想されています*4

 このため、台北メトロ・台北市では、17年前から続けてきたIC乗車券の利用割引(20%)について、廃止または他の割引方法を検討すると表明しています。

 不勉強のため、台北メトロが公開している決算書を見てもどのへんから本業が13億の赤字という根據になったのかよくわかりませんが*5、運輸営業収入が約164億9千万NTDに対して、営業総収入が約201億、営業支出が約172億、総支出として約194億となっています。運輸業以外の収益により、全体としては黒字を実現しているという説明です。この報告書によると、乗客1人の平均利用額は21.54NTDで、目標の21.71NTDには届いていません。その主要な要因はICカードや定期券の利用による減収と見込んでいてます。

 新聞報道などを参照しますと、台北メトロでは運輸収益の部分で年間平均5.9億NTDの赤字を出しているといいます*6台北メトロでは開業から23年間運賃が変わっていないため、その調整が必要だとも言われています。年内にはICカード優待の廃止可否、利用回数に応じた割引の導入を検討しているといいます。しかし、現在他にあるバスとの乗り継ぎ割引や定期券については廃止する見込みはないとのことです。

 他の世界の都市と比較しても台北(台湾)の交通費は異様に安いので(営業距離が約1.5倍、一日平均利用者数が約3倍程度の東京メトロの売上高は台北メトロの約25倍)、こうした点も含めてよく検討をする必要があるのかもしれません(台北メトロと東京の地下鉄との比較はまたおいおいやります)。