(雑録)「友達付き合い:「拉致られて台湾島」再販に寄せて」
台湾・シーフェンで「願い事を書いて飛ばすランタン」になぜか笹松しいたけのアイコンを描く人がちらほら。
「御本人はいつ訪台されるんですか」
の問いにお茶を濁し続けること数年。
ついに業を煮やした越後屋・能登屋が笹松しいたけ拉致計画を立てる。
運転主役に沓野を抜擢。架空の「大井っちの寸又峡温泉旅行」も計画し、笹松に伝える。
運命の6月15日、すっかり静岡に行くと思い込んでおり、能登屋を羽田空港で見送ろうとする笹松。
出国ゲートの直前で能登屋から手渡されたのは――
あの「拉致られて台湾島」の裏側を徹底解説!
本人・主犯・実行犯・運転手役がお送りする、邦人拉致の手口とは……。
※本書を参考に類似行為をされた場合に生じたいかなる損害・被害につきましては、一切の責任を取りません。
※安易にマネをしないでください。
友人である笹松しいたけ(id:sasamatsu)が、こういう本を出している。昨年の夏コミ(C96)で出したものを再販するということだが、本人曰く、「悔しいことに自分の本の中で最も売れた本」であるという。この本に私も登場する。登場するもクソもアオリに思いっきり出とるやんけという話なのだが、簡単に言えばこの本は我々愉快仲間達が著名同人作家である「笹松しいたけ氏」を台湾に「お連れする」という顛末が描かれる。具体的な手法や旅の記録については、ぜひ本書をお手にとってご覧いただきたい。
そういった上で、この本になにか補足や裏話を書こうと思うのだが、ほとんどは本書の中に書いてしまっているので、特に何か書き足すべきことは思いつかない。しかしまあ、販促の片棒でも担ごうかと腰を上げた以上は、いくつか思い当たることを書いて餞としたい(何目線?)。
笹松と筆者の関係だが、はっきり言っていつ頃から始まったのかよく覚えていない。これまで基本的に彼が同人誌即売会で販売する作品の全てに目を通し(校正をしているのです)、それなりの付き合いはあると思うのだが、どうやってこうした「犯罪じみた」行為をしても許容される関係になったのかは正直良くわからないところである(笹松個人が寛大な心で見過ごしたのであって、社会的に許容されるわけではない)。
歳で言えば笹松が1つか2つ下。専攻する学問分野も違えば、就学した大学も、就職した会社も違う(私に至っては就職さえしていない)。友人というのはそういうものだと言われればそれまでだが、ほとんど接点の持ちようがないように見える。
明確な交差点になっているのは、両者とも鉄道が趣味の一部を形成しているという点で、ともに大学のサークルに属していたということだろう。私が大学で所属したサークルは弱小も弱小、2年時の部長就任時には部員がわずか3人しかおらず、50年の歴史の幕を下ろすところであった。せめてもの悪あがきと、2011年から対外的な活動を広げることを試み、他大学との接点を増やすようになった。おそらくそのときに知り合った。私も笹松も当時のことはあまり印象にない。
とはいえ、そう何回もあったわけでなく、やはり交流の中心はウェブ上が中心であって、そこで相互に挨拶を交わし……という感じで交流が深まっていった。今から思えば、なぜ平然とあの愉快な発言を受け止められていたのかわからない。
大きな転機となったのは、彼の転職であったように思う。その前後から接触が増えていたが、別の友人知人も多い企業へ彼が転職したことは、私と前述愉快仲間達との接点を拡大していった。
伏線というのがどこで張られたのか。水脈がどこにあったのか。たどってみると、実に細い細いものである。けれども、そこからいろいろな流れが寄り集まっていく関係を読み解いていくと、素人ごとではあるけれども面白く思う。文学者どうしの関係を、日記や書簡、随筆などから読み解く研究も多いが、人間関係の妙には面白みが宿る。
登場人物を少しだけ紹介したい。
主犯は円(ないし越後屋)である。ちょいちょい筆者と旅行に出かけているので、気になる方はブログを検索していただきたい。いたずらをやりやられという関係になったのも、また関係の妙である。
「運び屋」となったのは沓野(ないし湯田中)である。岡崎体育似だが音楽よりは車に執心している。埼玉のジェレミー・クラークソンという呼び声も高く、口を開けば下ネタとJR東日本へのご意見である。正直スイフトで登場した時は私もびっくりした。
なぜか登場することになるどーぶ(ないしパスポート、id:doubu)もちょいちょい筆者と旅に出ている。イギリスロンドンで貴重品の入ったバッグを置き引きされ帰国できなくなったという伝説を持つ。優秀なはずだがどこかユーモラスな隙がある。
みなてつ(id:iysy5030)は高校の同級生で、やはりちょいちょいブログに登場する。手先の器用さが随一で、下の三宮駅もみなてつの作である。やや運に見放されがちな体質を持っている。
東村首相は、これも説明すると長くなるが、変人である。筆者はよく台湾や中国へ同行する。オタク歴が長く、無駄に顔がでかいという欠点がある。なんだかんだ企画力や人心掌握に長けている。
田川げんご先生は、この方だけ「先生」なのだが、何も知らずに台湾旅行をするつもりが巻き込まれてしまった方である。艦隊これくしょん同人界隈では著名な方だが、その笑顔の下に何を思うのかは筆者もわからない。
黒幕としては、あくあちゃん(id:aqua_161)がいる。彼が何をしたかは私の口からは語れない。
総じて、笹松は人が良すぎて、他人を疑うことはせず、疑義が生じる場面も良いように解釈してしまう、という結論が出た。
なんだかんだ、彼一人をだまくらかすのに、これだけの人が登場し、楽しんで行って帰ってしまうのである。内輪ネタ、馴れ合い、まあ批判するならばこういう言葉を使うのが最適であろう。とはいえ、それだけじゃあコミケで「それなりに」捌ける同人誌にはならないだろうと思う。それだけ、この主人公と登場人物が、人としての何かを失いつつあの旅を築いたのだろうと思う。他人事のように語っているが、おそらく私は最も罪の重い部類に入る。
くれぐれも、絶対に、真似をしないでいただきたい。友人を失います。
買って頂戴!
※本記事の作成にあたっては、笹松しいたけ本人の許諾及び関係者との相談を行った上で発表しています。