能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(香港ニュース)「香港警察、香港中文大学へ突入」

 香港では昨日(12日)、香港警察が香港トップ大学のひとつ、香港中文大学へ突入し、デモ隊と衝突、複数の負傷者が出ました。 

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香港の町並み(5月撮影)

 

①:林鄭月娥行政長官は4日習近平国家主席と会談

notoya.hatenablog.com

 

 香港については当ブログでもなんどか取り上げてきた香港の状況ですが、2ヶ月以上前に根源となった「逃亡犯条例改正案」の撤回が表明されても、事態は沈静化する様子を見せていません。林鄭月娥行政長官は更迭報道が出た後の今月(11月)4日、習近平中国国家主席と会談、習近平主席は林鄭月娥行政長官への信任を表明し、更迭報道を否定しました*1。会見後、香港では民主化G、デモ隊への圧力は強化されているとも報じられており、出口が見通せない状況が続いています*2

 10月に開催された四全中(中國共產黨第十九屆中央委員會第四次全體會議)では、習近平主席の指導体制が改めて確認され、その統治体系は確固たるものになりつつあります*3。こうしたなかで、目下習近平体制は、国内のこうした反動分子をいかに「手中に収める」かとなり、その主戦場は香港、ウイグル、そして台湾となりつつあります。

 

②:香港中文大学への突入

 11月11日、警察による不必要な発砲でデモ参加者が負傷、男性に火が放たれるなど衝突が激化、西側諸国は中国に譲歩を求める声を上げたものの中国国内ではそれに対する反発も沸き起こっています*4

 翌12日、市内各大学で新たな衝突が発生、初めて主要大学のキャンパス内で本格的な衝突が発生しました*5

 このデモは、基本的にデモ中に参加者が「事故」でなくなったことに対する抗議運動でしたが、警察は大学へ突入し、武力での制圧を試みました。学生らの抵抗は続き、一時的に警察は大学へ突入しましたが、12日夜には引き上げたとのことです。

 香港の学術界は、こうした警察の動きに対して「キャンパスの自由」などの観点から非難する声明を発表しています*6

 

③:警察の狙いは中文大の「インターネットエクスチェンジ」か

 複数の報道によれば*7、警察が香港中文大学へ突入した原因は、同大学に所在・管理する「香港國際互聯網交換中心(Hong Kong Internet eXchange)」だと指摘されています。ウェブ上で「守衛中大、守衛 HKIX!」(リンク:守衛中大、守衛 HKIX!(香港國際互聯網交換中心) - 新·品葱

)を発表した黃世澤は、同センターが陥落すれば、香港インターネットは全面的に封鎖される危険性があると指摘しています。

 一方で、立法会議員でIT技術者の莫乃光(Charles Moc)は、自身のFB上でこの見解を否定し、香港にはHKIX以外にも複数のインターネットエクスチェンジが設置されていることから、中文大学のHKIXが「陥落」しても影響は通信速度の低下程度に程度にとどまると指摘しています。

 

 

④:24日には「区議会」選挙も

 香港では、11月24日に香港で最も民主的な選挙、「区議会」選挙の投票が行われる見込みとなっていますが、現状では林鄭月娥行政長官は予定通り実施を表明していますが、実現できるかは定かではありません*8。また、政権に批判的な人々はこの選挙への立候補を事実上禁止されており、公平な選挙の実施が望めない状況にもあります。

 こうした状況の中で、デモ隊・香港政府とも打開のいとぐちが見えず、また台湾で総統選挙・立法委員選挙が控える中で、中国を中心として複数の思惑が絡み合い、今後の展開は全く見通せない状況です。