(中国旅行記)「ちんぶら重慶編」(2.5日目、夜行列車エトセトラ)
昨日の続きです。「世界の車窓から」中国編。
<行程>
①:武昌駅にて駅員と座席交換交渉をするも失敗
武漢を半日観光してから武昌駅へやって参りまして、みなてつと合流します。みなてつは酷い目にあったらしいのですが、その件は「3日目」で説明しますね。
ところで中国といえばそのダイナミックな鉄道が魅力です。半日をゆうに超える長距離列車、「人民」ですし詰めの寝台車・座席車、日本ではもはや味わえない普通の食堂車などなど……。中国の魅力がグッと詰まっているのがこの鉄道旅行だと思います。
なのですが、外国人にはとても優しくない設計なのです。特にきっぷの購入です。中国国鉄はとにかく混みますので、事前購入は必須なのですが、ネットで購入できるのはいいものの中国国内の携帯電話番号を要求されたりSMSの受信が必要だったりで面倒です。でまあ、なんとか購入しようとしたものの、うまくチケットが買えず。席がバラバラになっただけでなく、目的地は重慶なのに成都行きのきっぷしか買えなかったり……。ダメもとで窓口へ行って聞いてみましたが、にべもなく「没有」と言われてしまいました。やれやれ。それにしても中国国鉄の切符には名前や身分証番号が記載されており、なんとなく「不穏」な雰囲気を感じます。
②:武昌駅構内はさながらアンドロメダ駅
さて、まあともかく成都まで行って、成都から高速鉄道で重慶行けばいいよねと話をして駅構内へ。中国国鉄の主要駅はとにかく馬鹿みたいに大きい。日本の国際空港よりも大きいのではないかと思ってしまいます。映画銀河鉄道999でしか見たことないような巨大なホームに降り立つと、18両編成の堂々たる深緑の列車が我々を待ち受けます。
③:激狭!三段寝台の刑
中国国鉄では基本的に車掌、ボーイが各車両に乗務をしています。飛行機の搭乗口のようにドアのところできっぷの確認をしています。さて、車内へ入って参りましょう。今回はあえて「硬座」。10系や20系のような三段式寝台がずらり。寝台幅も同じようなもので、大変に窮屈です。一度上がってしまうとなかなか下りたくなくなりなってしまいます。車内改札で切符を回収されますが、降車時に返却してくれます。
④:現地の皆さんとの温かい触れ合い
乗車後、私が驚異の交渉力を発揮、7人分の席がバラバラだったのですが、3席やや固まっていたところの周辺の人々にお願いして5席を確保。
私とながなが喋ってくれたおばちゃんには「どこから来たの?あんたたちの言葉がわたしには聞き取れないのよ。どこから来たの?」と言われました。日本だと答えると、「あら。中国だと思ったわ〜。はじめて日本人に会ったわ〜」と言われました。
そう、四川へむけて徐々に北京語が日常語じゃなくなっていくようなので、この人たちからみれば日本語も中国語も些細な違いなのかもしれません。
⑤:食堂車という贅沢
では食堂車へ参りましょう。この列車は武漢仕立てなので武漢風だということですが、どうも川魚がそれっぽいのでしょうか?ボーイに「なんかオススメなあい?」と聞いたら「おまえらこういうの好きなんやろ」と適当に注文表にすらすら書き込んでいきました。出てきたのがこんな感じ。正直「すげえうまい!」というほどのもんでもないのですが、夜行列車に揺られて食堂車で温かい食事をつついてビールを空ける。これ以上の贅沢がありましょうや。気付けば3時間も居座っていました。
もはや、『阿房列車』の旅情を楽しめるのは中国にしかないのかもしれませんね。
⑥: 払暁、響く怒号
さて、よっぱらって良い心地になりましたので梯子を駆け上って眠りにつくといたしましょう。
と、1時過ぎに寝入ったものの、6時過ぎに怒鳴り声で目が覚めます。なんだなんだ。
カーテンを開けるとボーイがなにやら怒鳴っています。「達州に着くぞ!降りる駅だ!早く支度しろ!」とかなんとか。「いや俺は成都へ行くんだよ」と説明するも、「お前の寝台のきっぷは達州までだろ」と言われて思い出します。そういやおばちゃんときっぷ交換したんだった……。もとの寝台へ走っておばちゃんを起こしにいきます「あら!もう達州!」などと慌てるおばちゃんを横目に見ているとボーイが追いかけて「なんで勝手に 寝台を変えたんだ!!!」とまだえらい剣幕で言ってきます。が日本人一人では心許なくてもこんどは現地のおばちゃんが居ます。おばちゃんも負けじと「上段が嫌だから中段に変えてもらったのよ!あんた昨日いなかったじゃないの!」などと説明をします。そうこうしているうちにもとの切符を元に戻すことができたボーイはやれやれとばかりに次へ移っていきました。
いやあ中国ってすごいですね(午前6時過ぎ)。
そうこうしていたら昨日改札をした車掌(おばちゃん)がやって来ます。「あらああなたたち日本人だったのね」とフレンドリーに話しかけてきます。さっきこういう顛末があったよという話をすると、「うまく話が引き継がれてなかったのね。ごめんね」と言ってました。まあ良いんですけど、わりとみんなフレンドリーなのが救いでした。
⑦:食堂車でもふれあい
というわけで気を取り直して車販の弁当を食います。中国国鉄は朝食に温かいお粥を車販しているんですね……。すごい。
それはそれとして食堂車も行きましょう。混んでますね。朝から辛い麺を食べてまったりしていると、横で服務員たちが飯を食い始めます。と、やおら隣の卓の服務員が私に「お前の中国語、上手いな」と話しかけてきます。坊主の厳ついコックだったのですが、なんともその一言が印象に残りました。ありがとう、中国国鉄の皆さん。
そうこうしているうちに、長駆すること半日以上、成都東に到着しました。いやはやなんとも疲れましたが、充実した鉄道旅でした。
さて、重慶編はまた後日にご紹介します!