能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(中国ニュース)「広州のアフリカ人:中国におけるアフリカ人差別」

 中国広州で、アフリカ人に対する差別や暴力が拡大している。

 3月末、広州で実施された域外から広州への流入者に対する検査で罹患が確認された全員がアフリカ人であったと報道されたことから、広州におけるアフリカ人への忌避感が強まっている。また昨日、広州の化学工場で働くアフリカ人労働者に罹患者が発見され、また彼らが逃亡したとの情報が拡散され、こうした傾向に拍車をかけつつある。

 昨日アメリカのCNNは、この事象について詳しく報じた*1。広州にはもともと中国最大のアフリカ人コミュニティがあり、増加するアフリカ人(とくに黒人)に対する忌避感、差別感情がある地域であったが、covid-19とともにこうした傾向に拍車がかかるようになっているという。先述の報道が出て以降、広州ではアフリカ人に対する忌避感、アパートなどから立ち退きを強いられる、あるいはホテルへの宿泊を拒否されるなど様々な差別がエスカレートしつつ有るという。そのため、一部のアフリカ人は家を失い、しばし路上で生活を余儀なくされている。また、CNNの報道によれば、治安当局もアフリカ人への圧力を強めているようだ。

 こうした自体を、アフリカ諸国は憂慮している*2アフリカ連合委員会委員長のムーサ・ファキは、中国大使を召喚し、事態の是正を求めた他、ナイジェリアの外務大臣ジョフリー・オニェアマも中国大使と面会している。その他のアフリカ各国も憂慮の姿勢を示している*3

 

  

 

  アフリカと中国との関係は、ここ10年来ながらく密接とされてきた。大勢のアフリカ人が移民として、労働者として中国へ渡り「非僑」として同地で根を張りつつある。世界最大の人口を抱える中国ではあるが、急速な高齢化が懸念されており、(安価な)労働者の確保は喫緊の課題でも有る。非僑はこうした中国の新たな屋台骨に成るかもしれない存在である。また、中国はアフリカ諸国に巨額の借款を行い、アフリカにおける中国企業進出のいとぐちを作ろうと試みている。

 WHO事務局長テドロスの「中国寄り」の姿勢を、こうしたアフリカ諸国と中国との関係から「邪推」する声も多い。アフリカと中国との蜜月が、経済上、あるいは「覇権」上の同床異夢に根ざすものであれば、早晩この関係は破綻するかもしれない。両者の関係深化は、これからより問われることになるのだろう。