能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾日常生活)台湾で「プラスチックストロー」提供が順次廃止へ(2019年7月1日より)

 みなさまこんにちは。硬い話が続いておりますので、ちょっと軽いニュースを。

 

<要約>

・台湾では2019年7月1日から、「原則的に」プラスチックストローの提供が禁止に。「ただし」持ち帰りについては暫時提供を継続

 

①:世界的に「プラスチックごみ問題」への関心が高まる

 日本では第n次タピオカブームということで、台湾の貢茶とか鹿角巷とか春水堂とかどこも長蛇の列を作っているようですね。こうした日本人に台湾は「え、なんで?」とか思っているようなんですが、日本人としては「台湾人はなんでそんな一蘭が好きなの?」という疑問を持っているので似たりよったりだと思っています。

 さて、そんなタピオカですが、その魅力はなんと言っても太めのストローでタピオカをずるずると吸い上げるその喉越し、食感でしょう。なんとも言い難い気分になります。鼻汁?うどん???なんと言えばいいのやら。インスタ映えという観点から、プラカップ、ストローに透ける黒いパールが自己顕示欲を誘うのでしょう(言い方合ってるのかこれ)。

 ただ世界で今話題になっているのは、プラスチックごみ問題*1。捉え方は色々有るにせよ、たしかに河川や海洋を通じて世界中に広がるプラスチックは地球環境に大きな影響、負荷を掛けると考えられています。

 

②:台湾で進むプラごみの削減

 台湾では、こうした問題への懸念、環境意識への高まりから、プラスチックごみの削減について議論されてきました。すでに台湾のコンビニやスーパーでは基本的にプラスチックバッグの提供を行っていません(1-5元必要です)。

 この問題のアイコンになったのが、プラスチックのストローです。台湾の環保署(環境保護局)は2018年6月、翌2019年7月から飲食店等にプラスチックストローの提供をやめるよう求める政策「海洋廢棄物治理行動方案」を発表しました*2。世界的にもかなり異例の政策です。同局は段階的に、プラスチックバッグ・プラスチックのスプーン・プラスチックのストローなどのプラスチック製品を2030年までに利用の停止を検討しています*3

 

③:持帰は今の所対象外

 しかし、タピオカドリンクに欠かせないこのプラストロー、廃止できるのでしょうか。同局が5月に発表した「一次用塑膠吸管限制使用對象及實施方式」は、根據となる法律として「廢棄物清理法」第 21 條を挙げています。これによれば、たしかに行政機関は環境を汚染する可能性がある物品や包装などの製造販売を禁じています*4。ここで禁止されているのは、内用(ネイヨン)、つまり店内で飲食をする際の提供を禁止するというものです。目下のところは外帯(ワイダイ、持ち帰り)については対象外ですが、今後1年以内に禁止されるとの見方です*5

 この政策が発表された際、台湾では大きな反響(というか反発がありました)。そのなかで、「タピオカドリンクはどうやって飲むの?」という質問が出され、担当職員が「スプーンで食えばええやろ」と言い顰蹙を買うという一幕がありました。これについては、蔡英文総統も「政策的な検討が不十分である」と諌めるなど大きな話題になりました*6

 

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タピオカ外交を推進する総統(引用元:https://www.instagram.com/p/B0nuSkUFCEq/

④:プラストローが廃止されたらどうなる

 さて、将来的にプラスチックストローが廃止された際には、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。大きく分けると方法は2つです。

 1つ目、ストローを使わないようにするマクドナルドなどのファストフードショップは、そもそも一律にストローの提供を廃止しました。紙コップのプラ蓋を改良し、直接飲めるように改めました。

 2つ目、プラ素材以外のストローを提供する上島珈琲店などで見られるタイプですが、紙などでできたストローを提供するお店もあります。また、若い人に広まりつつ有るのは、ガラスやステンレスなど再利用可能なストローを持ち歩くというものです。私はあまり外でこれらは飲まないので持ち歩きませんが、若い女性を中心に、お箸・スプーン・ストローのセットを持ち歩く人をよく見かけます。

 世界的に見ても稀有な政策を率先して打ち出している以上、社会や人々がこれを受け入れるまでそれなりの時間がかかると思います。台湾のこの小さな朝鮮は、今後の世界の環境問題を考える上での試金石にもなるかもしれません。