能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾社会)台湾におけるフェイクニュース

 のんびり台湾ブロガーもいいのですが、一応社会派なので台湾の気になるニュースをご紹介したりもします。今日はフェイクニュースについて。

<要点>:スウェーデンシンクタンクに拠れば、台湾は世界で最も外国勢力による「フェイクニュース」の汚染がひどい国家である。

  フェイクニュースといえば、アメリカ大統領トランプ氏が多用するワードとして著名です。毎日のように使っています

 

The Fake News Media HATES to see this! https://t.co/VMgyggOQ3Q

 氏の使い方の正しさはともかく、世界中でフェイクニュースが脅威を帯びつつあります。

 

フェイクニュース汚染国家台湾

 外国政府が発するフェイクニュースの最も深刻な汚染国家としてスウェーデンシンクタンクが指摘したのが、なんと台湾だそうです*1。これを受けて、台湾の各メディアがこれについて記事を発表しています

*2。これによると、4点満点で評価した際に、台湾の点数は0.26、ワースト2位であるラトビアの0.52をダブルスコアで下回る最下位だそう(アメリカは1.72だそう)。しかも台湾がこのランキングでワーストの栄誉に輝いたのは6年連続とのこと。台湾がいかにフェイクニュースの汚染に晒されているのかが指摘されています。

 

中国政府による情報操作

 さて、今日の日本の各メディアでは、香港で連日発生しているデモについて、中国政府が情報操作をしていることをツイッターフェイスブックが発表したと報じました*3。これにともない、TWとFB双方でいくつかのアカウントの凍結が行われたようです。

 

台湾ではFBが情報戦の主戦場

 ある調査によれば、台湾の若者(7歳から15歳)の実に9割がソーシャルメディアの利用者であり*4、8割以上がFBやLINEの利用者であるといいます*5。特にFBは台湾でおそらく最も人気があるメディアであり、上記で指摘されたフェイクニュースの主戦場はおそらくこのFBでしょう。筆者も台湾人の友人の影響で以前よりFBを見る機会は増えましたが、若者である彼らもFBで活発な交流や意見交換を行っています。

 特に選挙の際は、真偽不明の怪情報がFB上で飛び交い、有志がその検証や批判を行っているのをよく見ました。文字通り、情報戦の主戦場となっているのです。Twitterでも、最近はとりわけ香港のデモについて様々な情報を目にします。日本メディアはやや抑制的ですが、アメリカのメディアを中心に、中国政府に批判的なメディアもよく目にします。真偽不明な情報についてはよくよく検討の余地がありそうです。

 

www.facebook.com

 台湾総統蔡英文も、FB上のアカウントでこうした海外勢力によるフェイクニュースの拡散を批判しました。

假新聞(フェイクニュース)と紅色媒体

 これ以外にも、台湾では前回の地方選挙時期を中心に、「紅色媒体」(親中媒体)と呼ばれる、中国資本が導入されたメディアへの激しい批判が巻き起こりました*6。台湾は、中国語を共通語として利用する以上、そのネットでの言論は中国などの他の中国語地域からの影響を受ける可能性が高く、また政府やその関係者によってメディアの操作が試みられる危険性も高いという危機感が強いのです。蔡英文はしばしばFBのアカウントでこうした拡散されるフェイクニュースを批判していますが、台湾の若者は、こうした親中メディアがオンラインだけでなく、食堂や宝くじ売り場など様々な場所でテレビニュースを放映し、主として比較的年齢が高い層にまで浸透していることを危惧しています。

 彼らの報道姿勢は、必ずしもフェイクとは言い切れません。しかしながら、親中国的と見られる候補者や政党の動向を詳細に報じるなど、イメージや影響の拡大に寄与している側面があります。

 明確な印象操作を目的としたフェイクと、親中国派へのプッシュ、そしていわゆる台湾独立傾向の強い人々への批判といった三種の情報を渾然一体としてメディア空間に放たれつつある。それが台湾を中心とした言論の動向と言えます。2020年の選挙に向けて、こうした動きはより加速することになるでしょう。

  今後はメディアの動向により注視する必要があるようです。

 香港の状況、台湾から見た香港についてはまた書きたいと思います。

 

香港のニュースについては以下をよく参照します

自由亚洲电台 (@RFA_Chinese) | Twitter

美国之音中文网 (@VOAChinese) | Twitter

LIFETIME 視界 (@LifetimeUSCN) | Twitter