能登屋備忘録

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾ニュース)「国軍合同結婚に同性カップル参加へ」

 さて最近は台湾ニュースのご紹介ばかりでやや読者の皆様も飽き飽きかもしれませんが…。そして今日もちょっと難しいニュースです。

 

〈要約〉11月に開催され中華民国国軍合同結婚式同性婚カップルが参加へ

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いらすとや

 ①:台湾では2019年に同性婚を合法化

 台湾では今年5月17日、立法院同性婚法を可決(司法院釋字第748號解釋施行法)、24日にはアジアではじめての同性婚の承認を開始しました。2018年に実施された国民投票においては、多数の国民が反対票を投じましたが、2017年に下された大法官解釈において、民法上での同性婚を阻む規定が憲法に違反し、差別的処遇であることを認め、これに対する改善、法の整備を求めていたことから*1、比較的リベラルと目される蔡英文総統政権での法整備が実現しました*2

 この同性婚合法化をめぐっては、中華人民共和国の人民日報がTwitter上で「中国の台湾省同性婚合法化が実現したことをお祝いする」というメッセージを発し、中華民国外交部のアカウントから「中国ではなく、自由がある台湾において実現した」と否定するやりとりが交わされたという一幕があり*3、また通過した「司法院釋字第748號解釋施行法」の文字列を見て、中国で同性婚が合法化されたと誤解する中国ネット民があらわれたり*4、国連機関がFB上で同性婚が合法化された地域として中華民国の国旗(青天白日満地紅旗)を加えたものの、その下に「Province of China」(中国の一省)と記載し中華民国外交部から抗議を受けるなど「同性婚合法」をめぐっても「一つの中国」イデオロギーをめぐる中国と台湾の政治的対立が見られました*5。やれやれ。

 

②:同性婚に向き合う「軍」

 さて、すでに台湾で同性婚が合法化され3ヶ月が過ぎ、すでに離婚者が出るなど社会に徐々に浸透しつつあります。一般的に、同性愛に否定的な集団として軍があります。かつては入隊の条件として同性愛者ではないことが科せられていた軍というのもありました。

 台湾の国防部は同性婚合法化を受け、各種制度の整備を行うと明らかにしました*6。また国軍は2017年にも軍人教育向けの映像「虹彩」を作成し、同性愛への啓蒙を進めてきました*7

 未だに抵抗は確かに大きいですが、台湾では政府が積極的に同性婚の制度的整備と啓蒙を進めているのです。これを象徴的に体現するのが11月に実施される予定の国軍の合同結婚式に、同性婚カップルが参加することになったということです*8

 国軍は例年11月に前年1年間に入籍した軍人の合同結婚式を開催しています。5月の時点で、国防部は同性婚合法化を受け、軍として11月の合同結婚式同性婚カップルの参加を認めると発表していました。これに基づき、国軍は今年の合同結婚式の参加者を募集していましたが、9月現在の時点で海軍2組空軍1組、計3組の同性婚カップルが参加を表明しているとのことです。

 このうち1組は両者とも軍人のカップルだそうです。結婚式においては指輪の交換のほか、99秒のキスを交わすことが規定となっており、同性婚カップルも同様に行うとのことです。

 これについて蘋果日報は「由於依規定軍職人員一定要穿著正式的軍常服,因此擔心穿軍服的情況下當眾互吻怕會影響軍人形象,就連國防部對此都感到頭痛」(規定により軍職員は軍服(常服)を着用することになっているため、軍服を着て公衆の面前でキスを交わせば軍人イメージに影響を及ぼすことを心配し、国防部でさえこの点頭痛を覚えている)と報じています*9

 こうした懸念は私に言わせれば余計なお世話ですが、軍服を着て皆に結婚を祝われる軍人カップルの存在は、台湾の新たなアイコンになりうるでしょう。

 とまれ、こうした保守的な軍までもがこうして同性婚への支持を表明することは、台湾やアジア、さらには世界のLGBTQ運動が新たな段階に入ったことを象徴的に示すものでしょう。台湾がこうして先陣を切れたことは台湾の政治的、社会的成熟を示すものでもあると思います*10

  難しい話題ですが最後までご覧いただきありがとうございました。