(雑録)「故郷の味ノスタルジーと異教の味シンパシー」
頻繁に帰っている、かつ、言うほど異国でもなんでもない台北に住んでいても、日本の味に飢えることはよくありまして、言葉と同じく「母の味」はやはり忘れ難くあるようです。
私は常々言うのですが、「日本ほど魚が美味い国はない」。たとえその大半が外国産の輸入魚であっても、さまざまな魚をさまざまな調理法で食べられるのは日本の特権、近代の食卓が勝ち得た英知です。
台湾にも大戸屋、やよい軒など日本の定食チェーンは進出しており、「多少」高いのに目を瞑れば日本の味に出会えます。
しかして魚はまず輸入だと思うのですが、なぜか日本と味が違う気がするのです。大戸屋のほっけやサバは日本でも外国産だと思うのですが。南で食べるそれはどこか曖昧です。
台湾でも魚を食べますが、白身のあっさりした魚が多いように思います。
吳郭魚,虱目魚、石斑魚が有名ですが、いずれも白身です。虱目魚はスープで、そのほかは揚げたり蒸したり。魚を蒸して食べるのは日本では見られず、それが辛めのソースや香味野菜とよく合います。
土地土地にあった魚と(とはいえ台湾のこいつらは養殖魚で、吳郭魚など元は外来種だったりしますが)、その調理法もまたあるのだと魚を食べつつ思いを馳せます。