能登屋備忘録

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾・中国ニュース)「帰っておいでよ、台湾:中国中央テレビのアナウンサーが呼びかけ」

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「湾湾、回家吧」(帰っておいでよ、台湾)

 繰り返しお伝えしてきたように、1月には台湾で総統・立法委員(国会議員)選挙が実施されます。それに伴い、中国の台湾に対する各種の「圧力」もましているわけで、ここ最近で最も大きな動きであったのは、中国の台湾に対する優遇措置の発表です。これに関して、中国の国営メディア、中央テレビのアナウンサーが「湾湾、回家吧」と呼びかけ、台湾では波紋を呼んでいます。

 

 ①:台湾への「北風と太陽」政策

 現在台湾の政権与党である民進党が、ともすれば中国政府から「台独分子」(独立派)であると批判され、政策的な圧力を受けてきたことは皆さんご存知だと思います。1996年に行われた初の民主的総統選挙以来(1996年にはミサイル演習を行っています)、中国は台湾の総統選挙への有形無形の関与を続けてきました*1

 そうした中で、中国政府は台湾に対して「北風と太陽」のような政策を取り続けてきました。一面的には、武力の示威や民進党など台湾の本土派勢力への厳しい批判、一方で台湾への経済上の優遇措置を示す、政治的優遇(一国二制度)をちらつかせるなどの措置です。

 こうした両面的な政策を示し、台湾世論に揺さぶりをかけています。近年ではこれとは別に、「五毛党」と呼ばれる世論形成集団を利用してインターネット上での議論を左右するなど、様々な「選挙戦」を展開してきました。

 

②:二度に渡って発表された台湾への「太陽」政策

 中国政府はこれまで、2018年3月に「關於促進兩岸經濟文化交流合作的若干措施」31か条(通称、31條)を発表し、両岸(中国と台湾)の経済文化交流を促進するための優遇(規制緩和措置)を発表しています。

 その内容は、税制優遇措置、台湾企業への中国の政策参与の許容、資格試験への参加緩和、テレビ・映画政策への数量制限撤回など、企業・個人など幅広い内容に及びます*2

 選挙が目前に迫った11月4日、中国政府は改めて「關於進一步促進兩岸經濟文化交流合作的若干措施」26か条(通称、26條)を発表、前項31か条を更に踏み込んだ政策を発表しました。

 その中で、企業に対しては中国大陸における5G技術の研究開発、標準化プログラムへの参加が認められ、個人に対しては中国の在外公館での保護協力、パスポートの申請などが行えるようになりました*3

 基本的に、この31か条では、台湾人を中国人と同様に取り扱うことを示したのです。台湾の大陸委員会はこれに対して、こうした「優遇措置」は実質的に中国と台湾の同化を進め、中国を利するものになると反発しています*4

 香港のデモについて、台湾が激しく反応し、中国の「一国二制度」が虚構であり、受け入れられないことを表明している現状に対して、中国は優遇措置というアメをちらつかせることで台湾人の翻意を促しています。

 

③:「帰っておいでよ、台湾」

 中国中央テレビアナウンサーの海霞は、「主播說聯播」という番組内で、この26條に言及し、台湾の同胞が大陸同胞と同等の待遇を受けられるということだと述べ、こうした措置が「我々は心から台湾の同胞を待っている。我々はみな中国人なのだから」行われるものだとの認識を示し、「台湾の未来は国家の統一に繋がり、台湾の運命は祖国とともにある。帰っておいでよ、台湾」と締めくくりました(冒頭の画像)*5

 

④:両岸双方で議論沸騰

 これを受けて、中国台湾のネット双方では大いに盛り上がりました。

 中国ネットでは「感激した」「帰ろうよ、家でご飯を食べよう」などとのコメントが微博上で見られましたが、台湾ネットでは「湾湾って呼び方は台湾を侮辱していないか」「ミサイルをこっちに向けといて何様だ?」とか「気が違ったのか?台湾はもう家にいる」とか、「香香(香港のこと)が騙されたので、湾湾(台湾)は認めない」などとの書き込みが噴出しました*6

 情感こもった祖国のありがたいお言葉を、湾湾はどのように受け止めるのでしょうか。

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