能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(台湾ニュース)「香港歌手何韻詩氏、台北でのデモ参加中にペンキをかけられる」

<要約>

 9月29日台北で香港を支援するデモが開かれました。そこに参加した香港人の何韻詩氏が台湾の中華統一促進党という政党の党員からペンキをかけられるという事件が発生しました。

 

 

①:10月1日は中華人民共和国国慶

 昨日10月1日は中華人民共和国国慶節ということで、北京では壮大なパレードが繰り広げられ、建国70周年をお祝いしたようです。

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②:香港デモでは警察が「実弾」を使用

 その裏で香港ではデモが行われ、香港警察が至近距離から実銃でデモ参加者の高校生を狙撃するというショッキングな事件もありました*1

 すでに多くのメディアで、香港のデモの一部が尖鋭化し、「暴徒化している」との記述も見られますが、これに対する警察の対応が「実弾」ということになったわけで、今後のデモのひとつの方向性としては、「香港警察」のデモに対する「暴力」の検証、批判という方向へ向かうのかなという気もします。

 

③:9月29日には台北でも香港支援デモが開かれる

 遡ること2日、2019年9月29日に台北でも香港への支援を訴えるデモが開かれました*2。これまで台湾は香港のデモを支援するうえで重要な基地とみなされてきました。香港のデモで必要な物資が、実は台湾から届けられているという報道もあります*3。彼らは「アリ」のように、香港で必要な物資を台湾から自ら送り届けているということで、香港でも台湾からの旅行客への警戒が始まっているようです。こうした動きは「挺港」と呼ばれます。文字通り、香港を助けようということなのですが、台湾では大学を中心とした若者がこうした運動に参加しています。台湾でのこうした運動においては、「今天香港、明天台灣(今日香港,明日臺灣。今日の香港は明日の台湾)」をスローガンに、中国政府がすすめる一国二制度への反対を表明しています*4。言うまでもなく、一国二制度への反対と現状の香港、台湾への強い危機感が香港への支援の背景となっています。また一方で、「今天臺灣、明天香港(今日臺灣,明日香港)」というフレーズも聞かれます。今日台湾が享有している政治的自由を、香港も享受できますようにというものです。何れにせよ、台湾にとって、香港の現状は他人事ではなく、メディアの報道も活発で影響が大きいように思えます。

 

④:9月29日デモで何韻詩氏が統一党員にペンキをかけられる

 9月29日の台北デモには香港から歌手の何韻詩氏も参加していました。香港のアイコンとして台湾の運動に参加したわけです。ところが、何氏のデモ中に台湾の「中華統一促進党」の幹部がペンキをかけるという事件が発生しました*5。同党は名前の通り、「中華」の統一を主張する勢力で、普段からその主張や姿勢が批判を浴びていました*6。彼らはすでに逮捕されましたが、ネットを中心に非常に大きな非難が巻き起こっています。また中華統一促進党は10月1日、台北駅前で中華人民共和国建国70周年を祝う集会を開催しています*7。台湾でも「五星紅旗」を掲げ、デモ行為をする人々がいますが、彼らはかならずしも中国大陸の人間とは限りません。このように、中国との統一を主張する一派もまた、台湾人の中には含まれます。彼らの政治的な主張については否定しませんが、暴力的な措置に出て、反対者の言論を萎縮させる行為は自らの政治的主張に仇をなすものであることを理解せねばなりません。選挙に向けてこうした攻防は拡大していくものと見られます。