能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(近代建築探訪)「せとうち湊のやど島居邸洋館」(島居家住宅)

 今年(2019年)の夏は広島へ旅行に行きました。といっても東部が中心で、尾道で一泊しました。広島紀行の模様はまたおいおいご紹介しますが、尾道で宿泊したお宿が素晴らしかったのでご紹介します。

<要約>

尾道市の「せとうち湊のやど島居邸」超いいので泊まって。

 

 

 さて、尾道はその昔から港町として知られており、山に張り付くように、海に面して細長い平地にある街です。名の通りの向島との関係はさながら九竜半島と香港島を思わせます。

 ロケーションシチュエーションとも抜群なこの街は港町としての機能が薄れてなお商業、そして観光の街として多くの人を引きつけてきました。

 率直に言えば、人が湊まるということは、金もまた流れ、尾道にはそのことを象徴する昭和モダンな建築も沢山あります。こうした尾道の歴史はまた振り返るとして、建物のご紹介です。

 今回宿泊したのはこうした昭和モダンな洋館、旧島居邸です。現在はリノベーションされ、「せとうち湊のやど島居邸洋館」として、「一棟貸し」で利用できます。

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 1931年築の洋館はスパニッシュタイルで包まれた海を望むにふさわしい開放的な雰囲気。この洋館を建てた島居(しまずい)家は、江戸時代から尾道を代表する名家だったようです。同家は他家と協力し、広島初の国立銀行、第六十六国立銀行(芸備銀行を経て現在の広島銀行)を設立します*1。一説によれば、住友が銀行設立を決定したのがこの尾道であり、島居家の茶室だったともいいます*2


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 千光寺踏切(下にちらっと見えていますが)を登ったところにあり、バルコニーからは海が見下ろせます。
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 ところどころにあるアールがスパニッシュな雰囲気を醸し出します。
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 この丸窓に昭和モダンが凝縮されている気持ちがあります。さて室内を見ていきましょう。
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 先程「一棟貸し」と書きましたが、この建物自体は洋館部と蔵に分かれており、それぞれ別々にお借りすることができます。洋館部は「望」、蔵は「蒼」。

 洋館部には三室六名が宿泊できます。どちらの部屋も大きなふかふかのベッドがお出迎え。
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 一階には二部屋、二階に一部屋となっています。
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 こちらはお二階のお部屋。バルコニーの前のお部屋です。
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 特筆すべきはお風呂で、開放的な浴室にヒノキ風呂。渡辺篤史さんが泣いて喜びそうなのびのびとしたお風呂。

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「いやぁ、いいお風呂ですねぇ」
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 キッチンもありますので簡単なお料理もできます。調味料は事前申し込みでごく簡単なものならいただけます。
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 炊飯器や食器などは備え付けのものがあります。ほかに洗濯乾燥機もあります。
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 こういうお玄関から出勤したいものですね。 
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 ちなみに日曜泊で54000円、ひとり9000円でした。お食事がいただけるコースもあります。ホームページをご覧ください。

 

〈地点〉

せとうち 湊のやど 島居邸 洋館
〒722-0033 広島県尾道市東土堂町11−12

goo.gl

〈ホームページ〉

minatonoyado.jp

*1:小谷範人(2012)「住友銀行はなぜ尾道で産声を上げたのか-尾道と住友との古い関係-」『尾道市立大学経済情報論集』第12巻第2号、「住友銀行はなぜ尾道で産声を上げたのか」 -尾道と住友との古い関係--尾道市立大学リポジトリ

*2:小谷前掲、p.64