能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

笑い事ではないのだけれど。

 先日の記事でしつこいほど「パスポートを失くすな」と書いた。でまあ、それだけではなくて、基本的には病気もしないほうが良い。

 

 その理由のひとつには、健康保険制度のありがたさ(偉大さ)を身をもって痛感することになるからだ。聞くところによれば、アメリカは国民皆保険制度がいまだ不完全であるがゆえに、自己保険自己負担であり、もし保険等に非加入な外国人旅行者が病院収容・入院なんてことになればひと財産飛んでいってしまうらしい。それでも、中国人などはアメリカへ「出産旅行」へ行くという*1。とはいえ、そういう子どもにアメリカ国籍なりなんなり身につけさせてえとかいうとんでもないことを考えて、対策をしていない限り、海外で医者にかかるのは基本的にとんでもなくカネがかかる*2

 ところが、私は学生ビザで比較的長期間の滞在を前提として渡航しているので(半年以上の連続滞在で加入が必要になる)、健康保険への加入が義務付けられている。年間負担が4万円ほどと、考えればそこそこするのだが、日本と同じで3割負担で受診することができる。おおむね400円~800円で診察を受け、数日分の薬がもらえる。これはまあありがたい話である。

 ところで、日本語について真面目に考えたことが有る日本人はどれぐらいいらっしゃるだろうか?唐突な話だが、日本にいれば頭のおかしい日本語学部とか言語学科とかああいう場所へ進学しなければ日本語の構造やアクセントなどについて真面目に考えることはない。しかし、外国で、外国語でふと自分の考えを口に出そうとするとき、日本語の曖昧さと語彙の多様さに愕然とする。中国語も確かに語彙の豊富な言語ではあるが、擬音語や擬態語は日本語と比較してかなり少ないようだ。

 「胃がしくしくする」「目がしばしばする」「頭がズキンズキン痛む」「喉の奥がじんわり痛い」こんな表現、日本語以外の言語で表現できますか?特に日本では、病院に行ってこういう擬態語を使って病状を表現することが多いように思う。私はいっとき医学生に日本語を教えていたのだが、こういう表現をいかに表現するかで結構苦しんだ。日本でも英語でどのようにこれらを表現するかという参考書が売られているが、中国語ではどうか?「胃口四九四九那樣痛」「眼晴常常」「頭頭巾頭巾痛」「咽頭人割痛」??? いやそれは意味がわからない。こうした表現力の問題、というか恥をかく可能性が高い。外国で病気をしないほうが良い第二の理由だ。

 ということで、海外で病院へ行くときは、自分がどういう風に痛いのかをそれなりに身振り手振りで表現できたほうが良い。海外生活1年ちょっと。まだまだ学びは多い*3

*1:アメリカは「出生地主義」(国籍取得において出生した国の国籍が付与される方式のことである)。まあ改正も検討されているようだが…

*2: 日本でも比較的短期の滞在で健康保険に加入できるのでこれを利用して日本の医療を受けようとやってくる外国人はそこそこ居るとされている

*3:今までの感じでは、台湾の病院では「頭痛は有る?」「熱は?」「喉は痛む?」「痰は出る?」「何色?」とかアキネイターみたいな聞き方をされるので、「ズキンズキン」とかいう必要はあまりない。