能登屋備忘録

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

「大学院生、模型を買う。」

こんばんは、よもや前回の更新から3ヶ月も経ってしまうとは思いませんでした。大変申し訳ありません。また、本日書く内容もあまり中身の無い吹けば飛ぶような内容となっているのは申し訳ない限りです。

(今回は駄文がひたすら続きます)

 

  さて、もうずいぶん前になりますが、有川浩さんの『フリーター、家を買う。』という小説があり、嵐の二宮和也主演でドラマにもなりました。この作品は、表題のごとく、フリーターである主人公の武誠治が「家」を買うことを目標に、就職やアルバイトなどに取り組み、衝突していた父やうつ病に倒れてしまった母とのつながりを取り戻し、家族を再生していく、というものでした。

  目標を立て、その目標に向かって努力を重ねる中で、周囲の人々、とくに家族や友人との絆を取り戻すというのは、あらゆる物語に見られる普遍的とさえ言ってもよい性質であると思いますが、「フリーター」が「家」を買うという突拍子もない組み合わせがこの物語をドラマティックに演出しています。

 そんな、「フリーター、家を買う。」を念頭に置きつつ、「大学院生、模型を買う。」ということを振り返ってみますと、絆を取り戻すことも突拍子を与えることもありません。むしろ、これは、その逆の「危険」がつねに共にあることを啓発するものであります。

 

 先日、ものもとに後輩のA君(かりに、可愛らしい熊さんにたとえておきましょう)から連絡が来ました。

  熊さん「ぼくは今、南海高野線に来ています。鉄道コレクション南海2200系がありますよ!!!!お買いになりませんか?」(今更ではありますが、この熊さんは、筆者の好みを知悉しており、めぼしい車両が見つかれば連絡をくれるという人間Amazonのような男のなのです)

  これに対して、私は「22000系を持っているし、現状ではとくに必要ありません」と連絡をしました。「欲しい物を買う」。これはあらゆる物欲の基本です。いくら可愛い後輩の勧めでも、そう簡単には乗れないわけです。

  しかし、熊さんは並の熊さんではありません。花咲く森の道でおとしものをした幼女を追いかけるタイプの熊ではないのです。北海道でよく見る「クマ注意」そのものです。

  彼はこう切り返してきました。「そういえば、なんば駅で鉄コレの7000系を売っていましたよ。ご入用ですか?」

 

 なんとも痒いところに手が届く、目の付け所がシャープな熊です。その勢いで経営再建でもさせればいいと思います。私は迷いつつも、彼に「あればよろしく」と言いました。無いと思ったのです。発売当日から大盛況であったことを知っていましたから。

 

f:id:noto92:20150707215345j:plain

 

  すると、しばらくして写真だけが送られてきました。無論、買えたのです。「人気無い南海(ふりがな:なんかいいなんかい)」を侮っていました。買えたのです。おかげさまで、不文律「南海線への関与はしない」が破られ、めでたく南海線への模型デビューを果たすこととなりました。

 

 ここまではまあそこそこ微笑ましい話です。私が森のなかで出会い頭に熊にやられた*1、それだけの話しですが、事態はそこで終わりませんでした。

 このやりとりは割と友人たちに知られ、熊さんの武勇を高めたわけですが、そこから1月ほどして、なんと「7000系新塗装」の発売が発表されました。別の友人であるQ氏(かりに、清水さんとしておきましょう)からLINEが来ました。「何個いるの????」。清水さんは、私がこの新塗装7000系を買うことを確信していました。そりゃそうです。あんなにあっさり旧塗装の7000系を買ったのですから。

 

 結局、まもなくに迫った新塗装の7000系の発売。わたしはまた幾ばくかのお金をひねり出して、買うに違いありません。そうすると、清水さんはニコニコして(画面の向こうで顔は見えませんが)、増結する特急車両「サザン」の購入を薦めてくるでしょう。一度ハマった(はめられた)沼からは簡単には抜けられないのです。

 

 「大学院生、模型を買う」。それは、目標に向かって頑張る物語ではなく、目標を見失ってずるずると車輌が増えていくその過程なのです。家族や友人との絆、連結器のようにつながれば良いですね!

 長文失礼しました。

 

 次回は山陽電車のお話です。

 

 

 

*1:よく考えれば、22000系のときも似たような過程で私は気づいたらレジに並んでいました。わたしに学習能力が無いのでしょう