能登屋備忘録:台湾生活日記

能登屋の日常を淡々と描く作品です。

(近代建築探訪)台北市中正区「旧三井物産台北支店」(土地銀行営業部)

 

 台北駅からほど近い場所に、公園(二二八和平公園)があり、そこには国立台湾博物館があります。この博物館はもともと台湾総統府によって建設された博物館でしたが、この周囲には多くの歴史的建造物が残されています。総督府からも台北駅からもほど近いこのエリアは、おそらく東京の日本橋や丸の内といった風情の街だったのでしょう。いまは少しずつ変貌を見せつつありますが、いまでもこの地域は多くの銀行が本店や支店を置く銀行街になっています。

 その博物館前にひときわ目立つ建築が背中合わせに立っています。ひとつはいかにも銀行建築という堂々とした体躯の日本勧業銀行台北支店、もうひとつはモダンな装いを主張する「三井物産台北支店」です。

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(台湾ニュース)「韓國瑜高雄市長、東大教授らへの遅刻発言で大炎上」

 いま台湾人に「韓國……」(ハングゥオ)と話しかければ、笑うか、眉をひそめるか、なんとも言えない複雑な表情を楽しむことができます。といっても、これは台湾でも対韓感情が悪化を見せているからではありません。いまや台湾で「韓國」といえばそれはKOREAではなく、「韓國瑜」(ハングゥオユゥ)のことなのです。今日はこの話題の人物、韓國瑜氏に関するニュースをご紹介します。

 

<要約>

台湾総統選候補の韓國瑜高雄市長、面会した東大教授らに失言を重ね炎上、謝罪する羽目に。

 

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(台湾日常生活)「台電マンホールコースター」

 今日はちょっとカルチュアな話をします。

 台湾でここ数年流行っているものに、「文創」というものがあります。文化創意産業、Cultural and creative industryの略なのですが、意味としては、文化、創造、そして産業の融合により新たな価値を生み出すということで、産業の中に創造性や文化性を見出すというものです。自分で書いていてもよく分からないのですが、これまで工業的なものとされ文化や芸術とは馴染みのなかった産業に、文化や芸術を融合させる、カルチュア化するといった認識でしょうか。

 そういった中で、多くの施設が「文創」化しています。旧台灣菸酒の松山、華山工場跡の再開発はその代表例と言えます。こうした文創化に貢献しているのが、誠品書店に代表される新たなムーブメントなんですが、またこれについては後に述べたいと思います。

 

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華山1914文化創意産業園区

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日本統治期に専売局の酒造工場として建設された

 いずれにせよ、ここ数年来の台湾では、こうした「カルチュア化」が流行しており、これはまた生活用品についても及んでいます。

 かつての台湾の生活用品は実用一辺倒な、悪く言えばダサい物に溢れていました。文創はこうした風潮に一石を投じ、あらゆるもののカルチュア化が進みました。特にその影響が大きかったのは文具ですが、家電や雑貨にもその影響は及んでいます。おそらくこの背後には、無印良品に代表される日本のムーブメントも関係しているはずですが、シンプルかつおしゃれなものが格好いいという雰囲気が台湾にも随分広がりました。

 こうした文創の流れは、かつてお硬いイメージを持たれた企業にも広がっています。今日ご紹介するのは、こうしたお硬い企業の「文創」です。

 

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(台湾日常生活)「來自京都!餃子の王将」

 「餃子の王将」と言えば、関西人のソウルフードとも言える存在で、京都を中心に日本全国に展開している中華料理チェーンです。能登屋での過去に餃子食べ較べ会のなかで部門首位を獲得した名門です。さて、その王将が満を持して台湾へやって来たということで、偵察にでかけてまいりました。

 

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とにかく京都発祥を推す

 

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(香港ニュース)「林鄭月娥香港行政長官、『逃亡犯条例改正』撤回を発表」

 

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実は5月へ香港へ行きました


 6月頃から香港で大規模な話題となっている香港における「逃亡犯条例改正」(反送中)とそれに反対するデモですが、8月以降さらなる大規模化、警察との衝突、人民解放軍の投入を伺わせる中国政府の態度など目まぐるしく状況が展開されました。これについてはまた台湾の立場から検討する文章を発表したいと思っています。

 と悠長に思っていたのですが、今日(2019年9月4日)、香港のトップである林鄭月娥行政長官が「逃亡犯条例改正」を正式に撤回すると表明しました*1。そこで、この件についてごく簡単に私見を述べたいと思います。

 

<要約>

・短期的処置として、「逃亡犯条例改正撤回」は有効かもしれないが、長期的には意味を成さないだろう

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